民主党政権による「障がい者福祉施策」は…。
ご存知のように、2009衆議院議員選挙により民主党が政権をとりました。
さて、民主党政権になって「障がい者福祉施策」はどのようになるのでしょうか。
民主党は、政権公約(マニフェスト)で障害者自立支援法が「国民的合意が得られていない」として廃止し、代わりに「障がい者総合福祉法(仮称)」の制定すると公約にしています。
26.「障害者自立支援法」を廃止して、障がい者福祉制度を抜本的に見直す
【政策目的】
○障がい者等が当たり前に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活できる社会をつくる。
【具体策】
○「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、サービスの利用者負担を応能負担とする障がい者総合福祉法(仮称)を制定する。
○わが国の障がい者施策を総合的かつ集中的に改革し、「国連障害者権利条約」の批准に必要な国内法の整備を行うために、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置する。【所要額】
400億円程度
民主党マニフェスト(民主党HPから)
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
マニフェストによる所要額は400億円としていますが、このような半端な額で障がい者福祉の向上の実現ができるのでしょうか。
なお、この基本になっているのは、2009年4月8日に民主党の「障がい者施策プロジェクトチーム」が報告した「障がい者制度改革について〜政権交代で実現する真の共生社会〜」です。
また、民主党政策2009では「障害者自立支援法を廃止し、新たに障がい者総合福祉法を制定」するとしています。
わが国の障がい者施策を総合的かつ集中的に改革し、国連障害者権利条約の批准に必要な国内法の整備を行うために、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置します。推進本部には、障がい当事者、有識者を含む委員会を設け、政策立案段階から障がい当事者が参画するようにします。そして、障がい者施策に関するモニタリング機関の設置、障がい者差別を禁止する法制度の構築、障がい者虐待を防止する法制度の確立、政治・選挙への参加の一層の確保、司法に係る手続における支援の拡充、インクルーシブ(共に生き共に学ぶ)教育への転換、所得の保障、移動の自由の権利保障、障がい者への医療支援の見直し、難病対策の法制化など障がい者が権利主体であることを明確にして、自己決定・自己選択の原則が保障されるよう制度改革を立案します。
障がい者等が当たり前に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる社会を目指します。障害者自立支援法により、利用料の負担増で障がい者の自立した生活が妨げられてしまったことから、福祉施策については、発達障害、高次脳機能障害、難病、内部障害なども対象として制度の谷間をなくすこと、障がい福祉サービスの利用者負担を応能負担とすること、サービス支給決定制度の見直しなどを行い、障害者自立支援法に代わる「障がい者総合福祉法(仮称)」を制定します。
また、障がい者福祉予算を拡充し、中小企業を含め障がい者雇用を促進します。精神障害者を中心とした社会的入院患者の社会復帰と地域生活の実現に向けて関連法制度の整備等を進めます。
民主党施策集INDEX2009
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/index.html#12
ただ、毎日新聞の論説委員である野沢和弘氏も指摘しているように、
…ただ、民主党内の優先順位はどうだろう。看板政策の子ども手当、農家への戸別所得補償などに大きな財源を充てる一方、障がい者総合福祉法には400億円とされているが、それで足りるのか、地方分権・補助金削減方針とは整合するのか。政府批判の声を得て「自立支援法廃止」の旗を立てたものの、中途半端に終われば、せっかく地域や会社で存在感を発揮し始めた障害者が再び施設に囲い込まれることになりかねない。
いずれにしても、「障がい者総合福祉法(仮称)」なるものの内容が示されないうちは議論にならない。