知的障がい者の「暮しの場」を考える集い3を開催しました。


本日の午後、予てよりご案内していた「知的障がい者の『暮しの場』を考える集い3」を赤塚駅ボランティア会館中研修室で開催しました。


[参考]
知的障がい者ケアホーム研究会のyahooグループ
グループページのURL
http://groups.yahoo.co.jp/group/habataki-shiroihane
(参加するには、「立場」と使用する「愛称」を付記して登録してください。なお、まずはyahooIDの取得が必要です。)


参加者は、事前予約者のほか当日参加者(2名)を含めて12名でした。

参加者は少なかったのですが、こじんまりと顔と顔を合わせた意見交換ができました。



前半は、私のほうから下記のような開催のあいさつをしてから事前予告の内容で進めていきました。

代表あいさつ

2003年4月に「支援費制度」がスタートしたものの、大幅な財源不足などを背景にわずか3年で制度が見直され、2006年4月から障害者自立支援法がスタートし、3年が過ぎました。

この間、実にさまざまな動きがありました。1割の利用者負担には、法の施行前から厳しい批判が寄せられ、利用者負担の重さから福祉サービスの利用を断念したり、回数を減らしたりする人も出てしまいました。また、サービス提供事業所に対する報酬支払い方法が月払いから日払いに変更され、一部のサービスでは事業費単価も引き下げられため、大幅な減収が理由で閉鎖される事業所も現れました。

このような背景を踏まえて、2007年度の「特別対策」、2008年度の「緊急措置」を経て、今年の4月から「自立支援法の抜本見なおし」がスタートしています。

ところが、今回の見直しには法改正しなければ対応できないもの、政省令や通知など、法改正をせずとも対応できるものが混在しています。制度を利用している人からは非常に分かりにくいのではないかと思います。

これは、自立支援法が制度実施のルールを政省令や通知などに委ねていることが原因だと考えられています。このことは、制度の柔軟運用にはプラスでしたが、一方で仕組みの複雑さ、分かりにくさを招き、多くの人が自立支援法を身近に感じられない大きな要因になっているのではないでしょうか。


続いて、6月に天童市で開催された「日本グループホーム学会山形大会」の概要の説明と「同入居者委員会報告」の報告をさせてもらいました。


次に、「障害者自立支援法を検証する」、「GH・CHの体験入居」そして「改正消防法の概要」についてパワーポイントを使って説明をさせてもらいました。



後半は、参加者の自己紹介と近況報告の後、さきほどの説明の質疑と関連した意見交換をしました。


意見交換会では、養護学校の教師も参加しており、「体験入居」に関心を持たれたので、パワーポイントを使用して説明をしました。

養護学校の生徒だとはいうものの、体験入居には障害程度区分の決定や利用者一部負担もあることから、必要を感じている生徒を想定して意見を述べていましたが、一部負担金や家賃、食事料、光熱水料を体験日数に応じて日割りでの支払いが生じるので、必ずしも実現するものではありませんでした。

当然、障がい福祉サービスとして「体験入居」の届出をしている事業所がなければ実施できませんからね。


また、GHやCHに入居したいと思っても、GH・CHの「指定事業所の所在」やその事業所での「相室状況」の把握など保護者自身が入居に当たってのコーディネートをする必要がありますので、そのようなことをしてくれる機関があってもいいですね。


つくばから参加されたNPO法人の指導員(2名)をしているという保護者さんは施設立ち上げにはかなりの情熱を持って関わっていたが、そのときにも想定していた「暮しの場(GH・CH)」の立ち上げまでの情熱は萎えてしまっているので、この集いに参加して再びその情熱をよみあがらせたいと言っていました。


あっという間に、決まりの時間が来てしまい、それでも時間オーバーでの終了ということになりました。



おわりに、私から以下のような話しをさせてもらいました。

この3月に上程された自立支援法の改正案は、衆議院の解散のあおりを受け一度も審議されないまま、廃案となりました。

総選挙の結果、既に存知のように民主党が政権とり、政権公約マニフェスト)により障害自立支援法を廃止にし、「障がい者総合福祉法(仮称)」を制定しようと考えています。その法案を「再来年(平成23(2011)年)の通常国会に提出する意向である」としています。

マニフェストによりますと、民主党は新制度の費用として400億円を予定していますが、この程度の予算規模では充実した障がい福祉制度になるとは到底思えません。
なお、長妻厚生労働大臣は「半分は事業者の経営基盤の強化に、半分は1割負担をやめ、利用者の負担軽減の拡大に使う予定である。ただし、すでにかなりの負担軽減が行われているので、大部分の人の負担額は変わらないかもしれない。しかし、減免対象にならない人も含め、広く負担減につながる枠組みを考えたい。」と言っていますが、民主党が掲げる「障がい者総合福祉法」の内容が不透明です。

付け加えますが、「障害者自立支援法生存権や幸福追求権の侵害だ」として、東京、大阪、福岡など全国29人の障がい者が2008年10月、各地の地裁に一斉提訴しています。今年4月の2次提訴でさらに28人が加わり、現在、計57人が13地裁で係争中です。しかし、先週24日(木)の広島地裁において口頭弁論がありましたが、国側は「新政権が自立支援法を廃止し、新たな制度をつくると言っており、その方針を前提に検討する必要がある。時間的猶予を3カ月程度ほしい」として予定した準備書面の陳述をやめたそうです。

このことを含めて、新しい法律が障がいのある人たちにとって福祉制度そのものが使い勝手のよい、そして身近なものとなるよう期待しています。

以上のような内容での開催でしたが、できましたなら来年も同様な形式で「…集い4」を開催したいと思っているところです。


なお、来年の日本グループホーム学会は6月に東京で開催される予定です。