厚生労働省政策会議で「障がい者の新たな福祉制度の検討」がされています。

昨夜、『厚生労働省政策会議では障害者の新たな福祉制度の検討についてということで、政策会議の資料も掲載されていますので、興味のある方はご覧になってください。』と書き込みをしましたが、本日「議事要旨」が同じサイトで公開されました。

厚生労働省政策会議のサイト
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/kaigi.html
(5月12日開催「第16回」です。その会議の資料も掲載されています)


その抜粋を引用します。

1.障害者の新たな福祉制度の検討について
  資料1に基づき説明後、質疑。

○新体系への移行については、混乱がないようにしたいとのことであったが、既に混乱が生じている。支援者に説明するのも大変である。ただ、幸い障害者自立支援法は廃止と決まっており、総合福祉部会も障がい者制度改革推進会議の下で立ち上がり、皆さん喜んでおり、期待も高い。新しい制度を作るには時間がかかると言われているが、3年間、2年間後ということではなく、できるだけ早く当事者からの意見をまとめて、新しい制度を作るためにがんばってほしい。新体系への移行を今準備している人もいれば、既に移行した人もいる。新体系に移行して、新たな制度設計の中でも大丈夫かということも含めて説明できるものがほしい。もう一つ、地域主権の動きとの関係がある。地域生活支援事業では格差が生じたという声があるがこうした失敗を繰り返さないようにしてほしい。このような中でも、ナショナルミニマムとして、障害者のためのサービス提供は確保できるという決意を伺いたい。

●新体系の移行についてご指摘があった。現在確認しているところであるが、4月までに新体系に移行した事業者が5割を超えて、移行が進んできている。また、4月以降も事業者のお話を伺っていると夏や秋にも新体系に移行して、3障害垣根を越えてサービスを提供していきたい、新しい体系に対応していきたいという声もある。一方、報酬を上げて、経営が見通せるようにしてほしいというご指摘もある。新しい制度の検討には、事業の経営者にも入っていただいており、このような方々のご指摘を受けながら、利用者と事業者に納得いただける形にしたいと思っている。地域主権についてのご指摘もあった。障害者自立支援法に基づき必ず国も負担する個別給付とそれ以外にも市町村独自で障害者の支援を行い国が補助する地域生活支援事業がある。地域生活支援事業の中でも必ずやっていただきたい事業ができていないところもあり、底上げをして必要な事業は法律の中で体系付けてほしいと言われている。新しい制度の中では、給付の体系に入れてほしいという声を聞いて、位置付けを考えていきたい。

地域主権の問題は根本的な問題である。社会保障や福祉は地域主権になじむのかという考えもある。一方で地域主権戦略会議では我々も激しく、厳しい議論をしている。特に障害者福祉は、地域主権を進めると後退するのではないかと、かなり声があがっている。具体的には2点ある。事業者の基準について、人手や面積は任せないが、部屋の定員は都道府県に任せることにした。もう一つは、障害福祉計画を作るときに住民の意見を聞くか否かを都道府県に任せることにした。ただ、任せたからといって、4人部屋を8人部屋にしたり、住民の声を聞かないということは想定していない。何から何まで国が縛るような時代ではないということである。もし皆さん方に苦情がきたら、言ってほしい。万が一、地域間格差が広がるようなことになれば、一緒に声をあげましょうと。我々も、当然言わせていただく。地域主権法案は参議院は通ったが、衆議院は残っている。マニフェストに盛り込まれた事項だが、その名の下に、障害者福祉が後退しないよう党と政府、力を合わせてやっていきたい。

●新体系への移行については、昼夜分離ということで、朝から夜まで同じ施設で暮らすのではなく、普通の生活のように朝になれば施設に通い、夕方になれば戻っていただくということが大事である。この新体系については、報酬を含め不安があるという声がある。実態調査をちゃんとやって、制度を導入した当初の想定していたとおりになっているのか検証することが必要である。地域主権については、私もその流れを進めることが重要と考えている。しかし、それが究極になると国の目標は何かということになる。全てが地方にお願いベースになり、目標を達成するかどうかは、地方次第ということになる。どこまで進めることがよいのか、ナショナルミニマムとして、最低限の部分は国でやって、上乗せはプラスアルファで地方にやっていただくという考えである。これまでは、ナショナルミニマムという考えが、中央省庁の過度な規制につながっていた。今後は、最低限のものをやっていきたいと考えている。地域生活支援事業についても格差が拡がっているのかどうか具体的に検証した上で拡がっているのであれば必要な対応を考えていきたい。事務方にも調査と検証をお願いする。

○基本的でもあり、難しくもあるかもしれないが、応能負担を基本とするという応能とはその人が負担に耐えられるかどうかをどのようにみるのか大変難しいのではないか。今は住民税非課税ということのみを考慮している仕組みだが、所得の中にも色々あるし、財産を持っている方もいる。全てを見ていくのは難しい、税の世界も総合的にみて、「応能」とできないかと思うが、どこまで障害者のプライバシーに個々に立ち入ることを考えているのか。

○関連だが、応能負担の考え方で所得のある人は、それだけ負担してもらおうというのはわかるが、本人の所得を活用していくのか、本人ではなく世帯ベースが基本となるのか。資産はどうなるのか。具体的な考え方があれば教えてほしい。

●ご指摘のあった負担の考え方については、障害者自立支援法ができて、応益負担が問題だという指摘をいただいている。これは、1割という定率の負担の部分であるが、障害が重い人ほどサービス利用が伸びれば1割負担が増えるということになる。所得に応じて上限を設け、実施していきているが、障害が重いためにサービスを増やせば利用者負担が高くなるのはおかしいと言われてきた。ただ、新しい制度ができるまでの間の措置として住民税非課税の方の利用者負担を0にして、必要なサービスを使っていただけるようにしている。今後の負担をどのように考えるのかについては、ご指摘のあった所得の考え方をもう一度整理する必要がある。なるべく負担いただけるところでご理解を得て、国民の理解も得なければ、サービスの伸びを確保していくことは難しい。  ご指摘のあった本人単位で所得を見るという点については、現在、子どもが障害者の場合は、本人所得でみており、夫婦の場合は夫婦でみようということでやっている。新しい制度でどのようにするかは更に御議論いただきたいと考えている。

*1


なお、障害者自立支援法でいう「新施設体系への移行促進」については、3月19日に開催された「」で厚生労働省主管課から各都道府県の担当課へ移行促進勧奨をするよう指示されています。

WAMNETへリンクします。
障害保健福祉関係主管課長会議資料(平成22年3月4日開催)
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/vAdmPBigcategory50/CDA062FA03BE3544492576EA0006F396?OpenDocument



また、同じ政策会議のサイトの4月21日開催の第15回政策会議には「障害者の虐待防止の取組等について」の議事要旨と関係資料が掲載されています。

同じくWAMNETの上記主管課長会議にも関係議題が掲載されています。

この障がい者虐待防止については、数年前(2005年)に関係者と厚生労働省の関係主管課で勉強会が数回開催されましたが、それ以上の進展はありませんでした。
貴重な資料(データ)が掲載されていますので、参考までリンクします。
WAMNET(調査研究・報告等 > 障害者虐待防止)
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/aCategoryList?OpenAgent&CT=50&MT=030&ST=020

*1:厚生労働省「政策会議」のサイトから引用しました。