鳩山首相が「所信表明演説」を行いました。
臨時国会が26日召集され、11月30にまでの会期で民主党中心の政権がつくられたもとでの最初の論戦の舞台となる国会が始まりました。
この日は、鳩山由紀夫首相が「所信表明演説」を行いました。
その所信表明演説は、「友愛政治」を掲げた演説で52分間に及ぶ過去最大の演説時間だったそうです。
その中で鳩山首相は、
(国民のいのちと生活を守る政治)
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医療、介護についても必死に取り組みます。
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高齢者の方々を年齢で差別する後期高齢者医療制度については、廃止に向けて新たな制度の検討を進めてまいります。
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とは言いながらも、後期高齢者医療制度の廃止も「新たな制度の検討を進める」と先送りの姿勢を示しました。
わたしは、この制度は社会の先達である高齢者を追いやる「天下の悪法」であると思っています。
また、障害者自立支援法については
(国民のいのちと生活を守る政治)
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障害者自立支援法については早期の廃止に向け検討を進めます。
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この障害者自立支援法の廃止については、厚生労働省の長妻大臣は既に「障害者自立支援法廃止を明言」しており、利用者負担の軽減策として「来年度から低所得者の利用料を無料にする」旨のコメントを発表しています。
しかしながら、民主党がマニフェストで掲げている障がい者総合福祉法(仮称)の骨組みは障がい者施策PTから公表されていますが、具体的な内容は不透明です。
法案の提出は「再来年の通常国会に提出する」としています。
さらに、障がい者雇用に関して嬉しい引用もありました。
「居場所と出番」のある社会、「支え合って生きていく日本」
(人の笑顔がわがよろこび)
先日、訪問させていただいたあるチョーク工場のお話を申し上げます。
創業者である社長は、昭和34(1959)年の秋に、近所の養護学校の先生から頼まれて2人の卒業生を仮採用しました。毎日昼食のベルが鳴っても仕事をやめない2人に、女性工員たちは「彼女たちは私たちの娘みたいなもの。私たちが面倒みるから就職させてやってください」と懇願したそうです。そして、次の年も、また次の年も、養護学校からの採用が続きました。
ある年、とある会でお寺のご住職が、その社長の隣に座られました。
社長はご住職に質問しました。
「文字も数も読めない子どもたちです。施設にいた方がきっと幸せなのに、なぜ満員電車に揺られながら毎日遅れもせずに来て、一生懸命働くのでしょう?」ご住職はこうおっしゃったそうです。
「ものやお金があれば幸せだと思いますか」。続いて、
「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです」「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。
このチョーク工場は、従業員のうち7割が「障がい」という「試練」を与えられた、いわば「チャレンジド」の方々によって構成されていますが、粉の飛びにくい、いわゆるダストレスチョークでは、全国的に有名なリーディングカンパニーになっているそうです。
障がいを持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。
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首相自身がこのように障がい者雇用の現場を自分の目で確認して、その率直な感想を所信表明演説に引用するとはかなりの感銘を受けたのではないかと思います。
それは鳩山首相が1週間前に日本理化学工業(川崎市)を視察した際に大山会長から聞かされた内容が心に残っていたのではないかと思います。
(友愛政治を旗揚げするのに都合よく引用したかもしれませんが…)
鳩山首相の所信表明演説に引用された大山会長のコメントをWebニュースが掲載していますので、その記事を引用します。
◆登場のチョーク会社「障害者雇用前進を」
鳩山首相は26日の所信表明演説で「人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せ」の例として、知的障害者が社員の約7割を占める「日本理化学工業」(川崎市高津区)を取り上げた。同社の大山泰弘会長(76)は「びっくりした。これまでやってきたことが報われたうれしさで一杯です」とコメントした。
…
首相は20日、同社川崎工場を視察し、「こういう会社が頑張っていることが日本の底力」と話し、「友愛」と書いた色紙を贈っていた。同社では、この色紙を従業員や来客が見ることができる玄関に掲示。所信表明演説のテレビ放送をビデオ録画してみたという大山会長は「友愛社会の一つとして紹介していただいたことは、とても光栄でありがたい」と恐縮しつつ、新政権に対し、「これからの障害者雇用が新しく前進することを期待している」と述べた。
産経ニュース 2009.10.26 22:24
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/091026/wlf0910262224002-n1.htm
大山会長が新政権に対してコメントしているように障がい者雇用がさらに前進することを期待したいと考えています。
しかしながら、このように一般就労している知的障がい者はほんの一部であり、多くの知的障がい者は障害者自立支援法の枠ぐみの中の「福祉的就労」をしていることを忘れてはならないことを声を大きくして訴えたいと思います。
また、福祉的就労をしている障がい者は月1万円にも満たない工賃と障害基礎年金を生活の糧として、毎日の暮らしは苦しいけれども地域でいきいきと生活していることも忘れてはならない。